ロイヤルティはどこに行った?

「会社への忠誠心」と聞いて、何だか古臭い印象を持たれる人も多いのでは無いでしょうか?かつて、終身雇用が主流だった時代には盛んに議論されたテーマではありますが、現在では顧みられることも少なくなっています。その背景にはやはり、ひとつの会社で一生務め上げるという価値観から、柔軟に転職をしていくという価値観への変化があります。しかしながら、ロイヤルティというものは無くなってしまったのでしょうか。転職を繰り返す人には、忠誠心が全くないのでしょうか。以下に3つのタイプをあげて見て行きたいと思います。

3つのタイプ

  R・プレスサスという社会学者は、組織の中でのロイヤルティの現れ方を、出世型、無関心型、両面価値型の3つのタイプに分けて考えました。これらのタイプはその人のパーソナリティに由来する個人的な欲求によって相違すると考えられました。

出世型

 出世型というのは、組織とたやすく一体化でき、それを常に正当化し、それに対する忠誠や献身の価値を高く評価する人たちです。分かりやすい例で言うと、今なお古い体質を残す大企業でのエリート、つまり、将来の経営幹部になることが約束された人です。
 人材養成には多くのコストが必要なので、誰もがエリートコースを歩むということはありません。彼らエリートは大きな集団の中心にいて、重大な意思決定に加わり、いわば組織そのものに身も心も捧げたい気持ちになることもあり、そのため、もっともっと出世することが、その人にとって重要な価値となります。そのために自分の判断や行動を組み立てようとします。組織が持っている思想や規範が、その人のものと大部分で一致した状態となるわけです。

無関心型

 無関心型には、組織からも仕事からも疎外され、成功欲求を充たすことができず、挫折してしまった無関心型と最初から成功に関心を向けない無関心型があります。おそらく組織のメンバーの多くは多かれ少なかれ無関心型であるといってもよいでしょう。昨今の若い世代では全く出世に興味が無い人たちが増えているという話をよく聞きますが、こういった層は古くから存在します。
 彼らは仕事に対しての思い入れは少なく、いい加減に働き、そしてさぼります。また、組織の規則や規範に従うことが少なく、たまには、反することもあります。彼らの思想は組織のそれと大きく離れており、ロイヤルティは一番低くなります。

両面価値型

 両面価値型は、出世型のように組織の価値や目標に関心を向けながらも、組織人として有能であることにそれほど熱心ではないメンバーと言えます。組織が倒れても、頼りになるのは自分自身という考えがあることが多い人たちです。
 このタイプの代表としては、職業人としてのプライドを重視したり実力主義に固執する人たちがあげられます。専門的な知識や技術を有した人たちを雇用するほど、この両面価値型のメンバーは多くなり、組織に複雑で微妙な影響を及ぼすことになるのは必至です。無関心型程度ではないにしろ、組織の思想と彼らの思想は重なる部分が小さく、ときには、集団の基準や規範を無視することもあります。彼らはロイヤルティが無いようにも見えますが、プロフェッショナルの行動として、組織の価値を重視することも多く、潜在的なロイヤルティは高いと考えられます。

昔とは少し違った形で存在するロイヤルティ

いかがでしょうか。以前と比べて、上にあげた出世型のようなロイヤルティは少なくなってきているかと思いますが、実力主義的思想の両面価値型のロイヤルティは増えてきていると言えるのではないでしょうか。昔も今も問題となる無関心型を含めて、そのタイプに応じた対応が必要となる、そう言えるかも知れません。